強酸/強アルカリ液の測定 2

あすみ技研の接触角計コラムへのご訪問、ありがとうございます。

旧年中も本当にたくさんの御客様に御支持いただきまして、ありがとうございました。

本年もどうぞ、あすみ技研をよろしくお願い致します。

 

今年も昨年以上に頑張らせていただく所存でございます。

そして2024年、記念すべき第一回目の接触角計コラムを担当するのは登場回数最多(自称)のT.Sです。一発目ということで気合いが空回りしないよう、自制しつつ今回は書いていこうと思いますのでよろしくお願いします。

 

さて、今回のコラムですが2021年5月頃に書かせていただいたテーマで「強酸/強アルカリ液の測定」の続編となります。前回のコラムではオールプラスチック製のシリンジのご紹介で終わっておりましたが、それ以外で測定で必要になってくるのが「針」と「スプリング」になります。今回コラムではそのお話をさせて頂こうと思います。

前回コラムはこちらのリンクからお読みいただけます。

 

 

それでは本題へまいりましょう!

前回コラムでご紹介させていただいたオールプラスチックシリンジを使えば、シリンジからの金属の溶出の心配はなくなることがおわかりいただけたかと思います。そしてシリンジの対応をしたら、次に気になるのは「針」ではないでしょうか。

弊社に限らず、多くの接触角計メーカーで標準的に使用しているのは金属製、おそらくはステンレス製の針と思います。ですが、強酸と強アルカリ液の測定でこれを使ってしまうと、せっかくシリンジをプラスチック製にしても針が金属となるので溶出の心配は払拭しきれません。

そんな時、弊社では岩下エンジニアリング様の「テフロンニードル」をご紹介しています。

 

品名 テフロンニードル
メーカー 岩下エンジニアリング株式会社
型式 針径により異なる
購入先 MonotaRO(モノタロウ)など

弊社でご紹介しているのは岩下エンジニアリング様の製品になりますがこちらの製品は針の太さも選べて、且つ皆様ご存じの現場の味方「モノタロウ」で購入可能です!価格もそれほど高くはないと個人的には思っております。実物の写真がこちら↓

テフロンニードル画像1
テフロンニードル画像2

針の材質はテフロンで柔らかく、指で曲げても折れたりはしません。クセが付いてしまうことはあるかもしれないので、極力クネクネ曲げない方がよろしいかと思います。

 

針基(シリンジに取付ける部分)の材質はPPになります。この部分をシリンジに取付けるのですが、一応取付方法のご説明を・・・・(初めての御客様もいらっしゃるかと思いますので)。

 

と言いましても取付方法は至って簡単。下の写真のように挿し込んで回してあげれば、これだけで取付は完了です。これで接液部から金属を完全に除くことができます。

テフロンニードル画像セットアップ1
シリンジの先端に・・・
テフロンニードル画像セットアップ2
テフロンニードルをはめて回します
テフロンニードル画像セットアップ3
あっという間に取付完了!

続いて「スプリング」についてです。スプリングは測定に直接関係する部分では無いのですが、これを気にしないと作業性がとても悪くなってしまいます。どういうことかと言いますと・・・・。

写真は弊社のマニュアルディスペンサー、ガラスシリンジ、スプリングの組合せになります。

マイクロメータヘッドを回すことでスピンドルが動きます。スプリングをはめていることでスピンドルを引いた際に、バネの復元力によってシリンジのピストンが自然と動いて懸滴量の調整が可能になるというわけです。

スプリングが無かったらシリンジのピストンは自然に戻らなくなりますので、懸滴量の微調整が難しくなります。微調整ができないのは作業性悪と言えるでしょう。

テフロンニードル調整1
テフロンニードル調整2
マイクロメータヘッドを回すと・・・
テフロンニードル調整3
スピンドルが動きます

弊社ではHENKE製のプラスチックシリンジを使用していますがオールプラスチックとなる為、シリンジとピストンの摺動の具合がきつめです。先ほどご紹介したガラスシリンジに使っているスプリングでは「バネの復元力 < 摺動のきつさ」となり、ピストンが自然と動いてくれません。つまりはプラスチックシリンジを使う際はスプリングもプラスチックシリンジ専用にしないといけないということです。

 

今のところHENKE製のシリンジを使う時に弊社では下記のスプリングをご紹介しております。

品名 圧縮バネ
メーカー MISUMI(ミスミ)
型式 E-GVUF10-40
購入先 MISUMI(ミスミ)

上記のスプリングを使えば、摺動部のきついプラスチックシリンジを使ってもきつさにバネ力が負けずに従来通りの懸滴調整ができるはずです。それでもガラスシリンジと比べてしまうと若干動きはシブいですが・・・・。

こちらは購入が1個単位では購入できず、10個からとなるのでその点はご注意ください。

HENKE製シリンジと今回ご紹介させていただいたテフロンニードルとスプリングを御用意いただければ、強酸と強アルカリの測定も金属の溶出を気にすることなく、スムーズに行えると思います。組付けると写真のようになります。

HENKE製シリンジ

見た目は針が一般的なステンレス針ではなく、ご紹介したテフロンニードルに。スプリングは見た目の変化はありませんが、復元力がガラスシリンジ用に比べて強い仕様のものに変わっています。シリンジ受けのブロックの変形は前回コラムでご説明させていただいておりますので(苦笑)。これが強酸及び強アルカリ液の測定をする際のセッティングとなります。

本コラムで強酸と強アルカリ液の測定を行う際のディスペンサーのセッティングについて、おわかりいただけたかと思います。最後に用意する物のまとめてます。

オールプラスチックシリンジ    
メーカー HENKE SASS WOLF社(独)
型式 HJ4020-LL ※1
購入先 MonotaRO(モノタロウ)
     
テフロンニードル    
メーカー 岩下エンジニアリング株式会社
型式 針径により異なる ※2
購入先 MonotaRO(モノタロウ)
     
圧縮バネ    
メーカー MISUMI(ミスミ)
型式 E-GVUF10-40 ※3
購入先 MISUMI(ミスミ)

※1 前回コラムでご紹介した型式は廃番。容量は2mLを選んでください。

※2 パック売り(1パック20個入り)。針長さは25mmを選んでください。

※3 購入は10個から。

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。                

(T.S)