昇温条件下での表面張力測定

接触角計・表面張力計コラムのページにご訪問いただき、ありがとうございます。本日のテーマは「昇温条件下での表面張力測定」です。

 

あすみ技研ではどのように昇温条件下での表面張力測定を行っているかをご紹介していきますので、ご興味ある御客様はぜひ最後までお付き合いください。

弊社では昇温条件下での表面張力測定を行う際、表面張力計の他に「シリンジヒーター」と「チャンバーボックス」という装置を使って測定をします。それぞれの役割は・・・・。 

  • シリンジヒーター :測定対象液を任意の温度まで昇温させる装置。ディスペンサーも兼ねているので昇温させた状態で懸滴の作成が可能。
  • チャンバーボックス:シリンジヒーターを使って作成した懸滴の熱が逃げないように同温度の雰囲気を作る為の装置。

シリンジヒーターとチャンバーボックスの外観

シリンジヒーター本体と温調器
シリンジヒーター本体と温調器
チャンバーボックス
チャンバーボックス

ちなみに弊社の表面張力の測定方法は主にペンダントドロップ法を採用しています。詳しく知りたい方は下記リンクを参照ください。

簡単にシリンジヒーターとチャンバーボックスの役割を説明させていただきましたが、イメージがしづらいかもしれませんので補足で説明を付け加えさせていただきます。

表面張力測定で作成する懸滴量はごく少量です。懸滴量は測定液にも依存しますが、10μL前後になることが多いかと思います。懸滴量がごく少量の為、シリンジヒーターを使って液を昇温させた状態で懸滴を作成しても作成した瞬間、急激に懸滴の熱は奪われて常温になってしまいます。これでは通常の表面張力測定と変わらなくなってしまいます。

そこでチャンバーボックスの出番になります。シリンジヒーターの先端をチャンバーボックス内に挿し込み、チャンバーボックス内の雰囲気温度を昇温させた液温と同じにすることで懸滴を作成しても熱が奪われることなく、温度を保ったまま表面張力測定ができるというわけです。

それでは続いて測定時の写真を見て頂きつつ、測定のポイントを説明させていただきます。

シリンジヒーターとチャンバーボックス

写真は測定時のものです。

たくさんの線がありますが、温度管理の都合で熱電対やら何やらが多くなってしまうので・・・・。さぁ、それでは測定のポイントについてご説明・・・・っとその前に、昇温条件下での表面張力測定について一番大事なことをまず先にお伝えさせていただきます。

測定温度条件

それはあすみ技研で対応できる昇温条件下での表面張力測定の温度範囲です。

 

あすみ技研で対応できる昇温条件下での表面張力測定の温度帯は「30℃~90℃」になります。

 

最低温度と最高温度については条件によって少し変わりますが、概ねこのくらいの温度帯です。次に弊社で行う昇温条件下での表面張力測定のポイントについてです。

【チャンバーボックス内の温度管理】

 チャンバーボックス内に熱電対を挿入します。可能な限り針先近くまで熱電対を近づけて、針先近くの雰囲気温度をデータロガーにてモニターし、雰囲気温度が測定したい温度となるように温調器を操作します。

チャンバーボックス内に熱電対を挿入。 挿入した熱電対でチャンバーボックス内の 温度を確認。
チャンバーボックス内に熱電対を挿入。 挿入した熱電対でチャンバーボックス内の 温度を確認。
挿入した熱電対の先端。 ボックス内の温度を確認。
挿入した熱電対の先端。 ボックス内の温度を確認。

懸滴の温度管理

懸滴の温度を直接測定、管理をすることはできないのでシリンジヒーター先端の温度を熱電対とデータロガーを使ってモニターし、測定したい温度となるように温調器を操作します。さらにシリンジヒーターの針保温用筒の温度が下がらないように保温材を施工します。

シリンジヒーターの針保温用筒の先端に 熱電対をアルミテープで貼付
シリンジヒーターの針保温用筒の先端に 熱電対をアルミテープで貼付
シリンジヒーターの針保温用筒の温度 低下防止目的で保温材を施工。
シリンジヒーターの針保温用筒の温度 低下防止目的で保温材を施工。

いかがでしたでしょうか。

あすみ技研ではこのような方法で昇温条件下での表面張力測定を行っております。

測定可能な温度範囲についてはまだまだとは思いますが、もしこの温度範囲での測定をお考えの御客様はぜひ一度あすみ技研までご連絡ください。

 

今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。次回もよろしくお願いします。

(T.S)