界面活性剤とは
あすみ技研のコラムをお読みいただき、ありがとうございます。コラム担当のT.Sです。
今回は接触角測定や表面(界面)張力測定を行う上で、よく登場する「界面活性剤」を取り上げさせていただきます。
界面活性剤はどのような場面で登場し、どのようなものに使われているのか、このコラムをご覧の皆さんはパッとイメージできますでしょうか?
界面活性剤が登場する場面としてメジャーなところでは食器用洗剤、シャンプーやボディーソープ。昨今のコロナ禍でよく見かけるハンドソープなどです。

このように様々な「汚れ」を落とす局面で登場する界面活性剤ですが、界面活性剤とはどのような役割をしているのでしょうか?そもそもなぜ界面活性剤が入っていると汚れが落ちるのでしょうか?過去に接触角測定や表面(界面)張力測定を御客様お立会いの下で行っていた時も明確な知見がある方は少なかったように思います。
そんな普段当然のように使っている界面活性剤について改めて振り返って整理してみようというのが、今回のコラムの主旨になります。それでは今回もよろしくお願いします。
それでは早速まりましょう。まずは界面活性剤とは何かや。
界面活性剤は物質同士の境界(界面)に作用して性質を変化せる物質の総称で、「親水基」と「疎水基」という構造をもつ物質です。
簡単にイラストにするとこんな感じです。

この特別な性質を利用することで異なる性質の液体同士を混ぜ合わせることができます。
「親水」、「疎水」という言葉はについては、文字通り「親水」は水に濡れやすい、「疎水」は水に濡れにくい(撥水、はじきやすい)状態を示します。
「~基」については、化学において「基」とは原子の集合体を意味します(OH、COOH、COH等が該当)。ただその使い方は多岐にわたる為、実際のところは使用されている文脈より意味を汲み取る必要があります。
先ほど例として挙げました食器洗剤やシャンプーもそうですが、口に入れる物で言えばマヨネーズ。水にかなり近い状態のお酢と逆の性質の油が分離をすることなく混ざっていますが、これは卵黄中に含まれる成分が界面活性剤の働きをしてくれている為です。この他にも界面活性剤には対象液の表面張力を低下させる働きもあります。
界面活性剤の働きをイラストにするとこのような感じです。汚れと物体の間に滑り込み、そのまま汚染物質を取り除いてしまう働きですね。

例として液体中に固体の界面活性剤を分散させた状態の表面張力をおよそ5分測定した時のデータをグラフで示します。液体に分散させた固体の界面活性剤が液中に溶けていくことで表面張力が小さく経時変化していく様子がみてとれます。
ではその際の画像はというと・・・・、
お分かりになりますでしょうか?若干ですが、懸滴の張り具合に変化が見られます。もちろん5分も測定すれば懸滴液量も変わってきますので、その影響もありますがそれでも界面活性剤の影響無しにこの変化はないのではないでしょうか。
「界面活性剤」と聞くと「なんか汚れが落ちるやつ」みたいなイメージはすぐに湧くかもしれませんが、少し難しい言葉を交えて表現しますと、上記のようになります。
界面活性剤というもののイメージと、実際にそれがどんな性質を持っていて対象物にどのように作用するのかがわかったところで更にもう一歩踏み込んで行きます。
「界面活性剤」とは前述したような特性をもつ物質の総称で固有名詞ではありません。
界面活性剤にも種類があり、簡単にですが、それらを図4にまとめてみました。
天然の界面活性剤は昔ながらの石鹸に使われていたり、灰汁なんかは美術品のシミ取りなんかにも使われているようです。人口の界面活性剤では強すぎて紙を痛めてしまうのかもしれませんね。

界面活性剤の種類を簡単に表にまとめてみました。
種類 | 特徴 | 利用した製品 |
アニオン界面活性剤 |
泡立ち改良 乳化・分散性改良 |
シャンプー ボディソープ |
カチオン界面活性剤 | 帯電防止効果 |
衣料用柔軟剤 |
両性界面活性剤 |
皮膚にやさしい 水溶性 |
シャンプー ボディソープ |
非イオン性(ノニオン)界面活性剤 |
親水性と疎水性のバランス調整 乳化・可用性 |
衣料用柔軟剤 分散剤 金属加工油 |
それでは今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(T.S)