「テレセントリックレンズ」とは?
あすみ技研のコラムをご覧頂きありがとうございます。濡れ性評価装置コラム担当のT.Sです。今回は「上面観測装置のテレセントリックレンズとは?」というテーマで書いてこうと思います。よろしくお願いします。
「テレセントリックレンズ(Telecentric Lens)」という言葉ですが、耳馴染みのない方がほとんどでは無いでしょうか?少なくとも私はこの業界に携わるようになるまでは全く耳にしたことがありませんでした(汗)。ちなみに弊社接触角計・表面張力計のホームページでテレセントリックレンズの表記は、この赤丸部分になります。
テレセントリックレンズは弊社装置でも上面観測装置の「A1000T」、「F200T」にのみ使用しているレンズになります。一般的に知られているレンズとは少し違っており、その特徴を利用してのことなのですが・・・。そんなわけでまずは「テレセントリックレンズとはなんぞや?」というところから書き始めていきます。ちなみに何故今回このテーマかというと、最近「F200T」を導入したのがきっかけなのか上面観測についてお問合せを頂くことが増えてきました。そこで聞かれるのが・・・・。「テレセントリックレンズって何が違うんですか?」馴染みのない方にしたらもっともな御質問だと思います。そこで今回コラムとして書かせていただこうと思った次第なわけです。
さて、まずテレセントリックレンズとは・・・というところからですが・・・。↓
テレセントリックレンズとは
テレセントリックレンズは対象物の位置に関わらず、対象物が同じ大きさで見えるレンズになります。「なぜ?」と思われた方もいると思いますので、簡単ではありますが説明を・・・。
一般的なレンズは固有の画角を有していて、レンズから物体が遠くなれば遠くなるほど結像倍率が小さくなるということが起こります。これは人間の目にも言えることで空間の奥行を遠近感として感じ遠く離れたところのにある物は小さく見える為、その視認精度は低下します。人間の目も物体の位置によって結像倍率が変化するということです。テレセントリックレンズの場合は対象物がレンズに近づいても離れても、結像倍率は一定なので同じ大きさに見えるレンズになります。
はい、よくわかりませんね。こういった事は、イラストの方がわかりやすいかと思い、ご用意させていただきました。
こっちの方が伝わるかもしれませんね。「百聞は一見に如かず」ということで(汗)。それでは最後になりますが、「何故、上面観測装置だけにテレセントリックレンズを採用しているのか?」について書かせていただき、今回コラムは終わりにしようと思います。
上面観測装置では側面カメラと上面カメラがありますが、テレセントリックレンズは上面カメラに使用しています。上面カメラのみに使用しているのは下記の理由からです。
理由 其の一:濡れの変化に対応する必要がある為
例えばA、Bという2種類の液について上面観測によって濡れを測定した場合、Aはあまり濡れ広がらずBは濡れ広がったとします。その場合にテレセントリックレンズでないと液滴とレンズの結像倍率が変わってしまい、測定しても像が鮮明に撮影できず解析が不明瞭になる可能性があります。テレセントリックレンズであれば対象との距離に関わらず同じ大きさで鮮明に見えます。
但し、その「対象との距離に関わらず」と言いましても、距離にして1~2mm程度です。濡れによる結像倍率の変化を吸収したり、若干のフォーカスの甘さを許容したりするにはとても有用ですが、体感として感じることはあまりできないのが残念なところです。
理由 其の二:高価である
対象物との距離が変わっても同じように見えるレンズ。使い勝手がいいのはもちろんですが、当然その分高いです。弊社で使っているレンズの価格の明言は避けさせていただきますが。また側面観測では液滴との距離は変わらないのでテレセントリックレンズにする理由が無いこととコストダウンを考え、側面カメラのレンズは通常のレンズを使用しています。
少しでもテレセントリックレンズについてお判りいただけましたでしょうか?このコラムを通じて弊社の接触角計にご興味を持っていただき、さらには上面観測機の「A1000T」、最近導入したこちらも上面観測機の「F200T」にもご興味を持っていただければ幸いです。ぜひともお気軽に御連絡ください。今回も最後までお読みいただき、ありがとうございました。
(T.S)