Wilhelmy法は何故白金プレートを使うのか
白金(はっきん、英: platinum [ˈplætɪnəm]、羅: platinum)は原子番号78の元素。元素記号は Pt。白金族元素の一つ。プラチナと呼ばれることもある。
単体では、白い光沢(銀色)を持つ金属として存在する。化学的に非常に安定であるため、装飾品に多く利用される一方、触媒としても自動車の排気ガスの浄化をはじめ多方面で使用されている。酸に対して強い耐食性を示し、金と同じく王水以外には溶けないことで知られている。なお、同じく装飾品として使われるホワイトゴールド(白色金)は金をベースとした合金であり、単体である白金(プラチナ)とは異なる。
Wikipediaより抜粋
いつもお世話になっております。濡れ性評価装置コラム担当のT.Sです。今回のコラムは「Wilhelmy法で白金プレートを使うのはなぜ?」について書いていこうと思います。私だけかもしれませんがWilhelmy法について過去にずっと「何故だろう・・・」と思っていたことがあります。皆さんは既に御存じでしょうか?このような疑問はありませんでしょうか?
「Wilhelmy法では何で白金を使うのだろう?白金でないとだめなの?」と。
Google検索とをしてみた方はわかると思うのですが、これについては色々ワードを変えて検索しても欲しい答えが出てきません。ですので今回コラムで「Wilhelmy法では何故白金プレートが使われるのか?」ということを今の私の知る限りの知識にはなりますがご説明したいと思います。もし「何で白金なんだ・・・?」というモヤモヤをスッキリさせたい方は必読(?)かもしれません。それでは今回もよろしくお願いします。
白金プレート部拡大画像
上掲載写真が弊社で使用している表面張力測定装置(Wilhelmy法)と使用する白金プレート、固定治具です。「Wilhelmy法」でネット検索すると測定原理のイラスト図を見かけることがあると思いますが、それのイメージからするとかなり小さく感じる方もいらっしゃるのではないでしょうか?私、初めて見たとき「ちっちゃ!!」と思いました。ついでに装置の紹介もしてしまいましたが・・・・それでは今度こそ、白金を使う理由をご説明します。
理由其の一:洗浄が容易である
Wilhelmy法による表面張力測定は「液体試料と測定子(白金プレート)の接触角は0°」という仮定(前提条件とも言える)の上に成り立っています。この仮定の成立には測定子が十分に清浄であることが必須であり、清浄な状態にするために洗浄のしやすさはとても重要になります。もし測定子の表面が汚れていたとしたら測定子を引き上げる際に測定子は液体試料をはじいてしまい、仮定が成立しません。
↑液が測定子に濡れ広がらず接触角は大きくなる
逆に測定子に汚れがなく清浄であれば液のはじきは最小限になります。
↑液は測定子に濡れ広がり接触角は小さくなる
測定原理の詳細については測定原理のページをご覧ください。測定子が白金であれば融点が高く酸化もしないので、火を使った赤熱洗浄を行えます。容易に洗浄することができるので便利です。汚れが接触角に及ぼす影響について興味のある方は下記コラムも参考までにお読みいただければと思います。
理由其の二:安定した材料である為
この「安定」という言葉には様々な意味が包括されています。
具体的には・・・・
- 酸にもアルカリにも溶けない
- 水銀とも反応しない
- 融点が1800℃弱と高く、熱に強い。火を使った赤熱洗浄をしても変色、酸化しない。
測定対象となる液体試料は様々なものがあります。測定子の化学的な安定性、確実に洗浄できる事と、その再現性は非常に重要です。
ちなみに、デメリットとしては、
非常に高価(3,415 円/g 2020年10月26日 田中貴金属工業調べ)
ということでしょうか。
Wilhelmy法による表面張力測定については、私自身これからもっと研鑽を積んでいかなければと思っています。まずは今回のコラムがWilhelmy法を検討している皆様のモヤモヤ解消のお役に少しでも立てばと思っております。それでは今回もありがとうございました。
(T.S)