上面観測のススメ
今日もあすみ技研の接触角計・表面張力計コラムをご覧いただきましてありがとうございます。今回は液滴を上面から撮影する上面観測を取り入れることでどんなメリットが得られるのかをご紹介させていただきます。
そのメリットとは、個体試料の表面上で液滴がどのくらい均一に広がっているのかを知るための判断基準となる情報を得ることができるということです。接触角測定では側面から液滴を見て測定するのが一般的ですが、実はその測定値にあいまいさを含んでいる場合があります。原因として表面状態が悪く液滴がいびつな濡れをしていることがあげられます。ここで『いびつな濡れってどういうこと?』、『なぜそれがあいまいさにつながるの?』と思った方がいらっしゃると思いますので、まずは疑問を解消すべく実例で説明していきたいと思います。
この画像は液滴を上面から見たものです。よく見てもらえれば分かると思いますが若干縦長で楕円形をしています。このように液滴が楕円形だったり、液滴が真円状に広がっていない状態をいびつといいます。次にこの液滴を矢印の方向から見た画像と接触角を見てみます。
なんと見る角度を変えるだけで接触角が10°近く変わりました。このように真円状にきれいに濡れ広がらない場合は接触角の大小に大きく影響することがわかります。
測定時には目視で均一に濡れ広がっていることの確認をしますが、『均一さをより厳密に確認をしたい!』ということであれば上面観察を取り入れることで数値として均一さを評価できます。弊社の上面観測機能付き接触角計で使用するソフトの解析機能を使えば上面から撮影した液滴の真円度というものを測ることができます。この真円度というのは液滴の形がどのくらいきれいな円かというのかを数値化したものです。
真円度の定義は、以下の通りです。
(1-(Rmax-Rmin)/R)×100 [%]
- R : 近似円の半径
- Rmax : 近似円の同心円で、輪郭座標の外接円の半径
- Rmin : 近似円の同心円で、輪郭座標の内接円の半径
さて、ためしに先ほどの画像を解析にかけてみると・・・、
少し字がつぶれて見づらいかもしれませんが、画像④一番左上の赤枠に囲まれた74.6%というのが真円度です。この数字が100%に近いほど表面状態が均一できれいな円状に液滴が広がっているということになります。
上面観測を取り入れることでこのように液滴がどのくらいきれいに真円状に広がっているかを数値として出すことができるので、真円度を指標の一つとして活用し、データを整理することでより確からしい結果を得ることができます。
今回のコラムは以上となります。もし他に測定で困っていること・気になっていることがあるお客様がいらっしゃいましたらぜひお気軽にお問い合わせください。それではお付き合いいただきありがとうございました。
(M.H)