表面張力と界面張力の違いについて

あすみ技研の接触角計コラムをご覧頂きありがとうございます。コラム担当のT.Sです。

 

今回のテーマは「表面張力と界面張力の違い」です。おそらく「界面張力」という言葉よりも「表面張力」という言葉の方が聞き馴染みのある方が多いのではないでしょうか。

「表面張力」という言葉自体、小学生の理科の時間に、アメンボが水に浮く原理や、コップの水があふれそうでもこぼれない原理など、色々と身近な現象の説明に習いました。(最近知りましたが、『表面張力ゲーム』というものもあるそうです。『嵐にしやがれ』で知りました!)

 

少なくとも私自身はあすみ技研に入社するまでは「表面張力」という言葉しか知りませんでした・・・。ですが入社後、表面張力計に携わる中で「表面張力」と「界面張力」という2つの単語が意味することの違いを理解して使い分けるようになりました。

今回のコラムでは私自身も初心に戻り、改めて「表面張力と界面張力の違い」について書きたいと思います。これから表面張力や界面張力に携わる方は参考にしてみてください。「あれ?そう言えば何が違う・・・?」と思われた方も一読いただけたらと思います。

それでは今回もよろしくお願いします。

御客様から「表面張力と界面張力は何が違うのか?」と聞かれる事があります。まず結論ですが、違いはありません。表面張力と界面張力は実質的には同じ意味になります。

では表面張力と界面張力という言葉で何が違うのか?

本来ならば表面張力も界面張力と呼ぶべきと言われていますが慣例として表面張力と呼ぶ場合がある為、表面張力と界面張力という二語が存在します。つまりこの二語は対象とする界面によって表現の使い分けがされているということです。

使い分けとしては、

  • 気体と液体の界面に働く力を「表面張力」
  • 液体と液体の界面に働く力を「界面張力」

という具合に表現は区別されます。こう文章で書いてもイメージしにくいと思いましたので、弊社装置での表面張力と界面張力の測定時の様子を写真①、写真②としてご紹介します。

写真① 表面張力測定(ペンダントドロップ法)
写真① 表面張力測定(ペンダントドロップ法)
写真② 界面張力測定 (ライジングドロップ法)
写真② 界面張力測定 (ライジングドロップ法)
写真③ 界面張力測定(ペンダントドロップ法)
写真③ 界面張力測定(ペンダントドロップ法)

弊社では表面張力及び界面張力の測定方法として「ペンダントドロップ法」、「ライジングドロップ法」を採用しています。測定対応機種及び測定原理についてご興味ある方は下記リンクを参照ください。

写真①は気体と液体の界面に働く力である「表面張力」を測定している様子で、写真②は液体と液体の界面に働く力である「界面張力」を測定している様子です。写真②、③のペンダントドロップ法とライジングドロップ法の違いは液密度の高低をどちら側にするのかによって変わります。「懸滴側の液密度>容器側の液密度」であればペンダントドロップ法、その逆であればライジングドロップ法になります。前述した内容と写真を照らしていただければ、表面張力と界面張力の違いについて理解いただけるのではないかと思います。

表面張力と界面張力いう言葉は実質的には同じ意味ですが呼び方に慣例があることにより、表現を間違えると思わぬ誤解を生む可能性があります。御客様も対象とする界面によってその呼び方を分けてみては如何でしょうか。

弊社の装置では表面張力、界面張力共に簡単に測定が出来ます。お考えの御客様がいらっしゃいましたらお気軽にご連絡ください。それでは今回も最後までお読みいただきありがとうございました。

(T.S)